マンション管理士試験合格のお役立ち記事 共有と共用の関係

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マンション管理士試験のテキストの初めの方にある建物の専有部分と共用部分。

何気なく読み通してしまうと、法定共用部分、規約共用部分の区別や、団地や住居と店舗を併用した複合用途型のマンションの標準規約のあたりで、無駄に混乱してしまいかねません。

まず、初めにスッキリと理解できるようにまとめました。

  1. マンションには、共有部分が必ずある

分譲マンションの1室を買うと、区分所有者となって、構造的に独立している部屋を使うことができます。しかし、マンションには、その部屋で生活したり、仕事をしたりする上で、その部屋だけが使えたら、他には何もいらないというわけにはいきません。

その部屋にたどり着くまでには、マンションの敷地に入ってから、共同玄関を通り、2階以上ならエレベーターに載って、降りて、廊下を通って区分所有された部屋の玄関の前に行く必要があります。

これらの共同玄関などの建物の部分については、誰かが単独で所有されてしまえば、立入禁止にすることもできます。そうなると、せっかく高いお金を払って買ったマンションなのに、いちいち他の所有者の許可を得ないと、部屋に出入りすることもできなくなってしまいます。

だから、区分所有の対象となる、構造的に独立している部分以外の建物の部分は、区分所有者全員の共有になっていて、お金をいくら出しても、この部分だけを単独で所有はできないようになっています。(区分所有法第4条、第1項)

また、建物以外でも、建物の付属物である、給水管や排水管、電気の配線、消火設備などは、全世帯みんなで使う必要があります。

各々の部屋で、公共の水道管や下水管に直接配管して、勝手に水を使ったり、汚水を流したりすれば、そんな設備を造って管理するのは、お金も手間もかかって大変ですね。

そんなことからも、専有部分以外の建物の部分と、専有部分に属さない建物の付属物は、区分所有者全員で共有されます。(区分所有法第11条1項)

2.共有で起こるマンション使用の問題

しかし、区分所有法では、この区分所有者全員で共有している部分を、わざわざ、共用部分とし、共有とは別であるとしています。(区分所有法第12条4項)

それは、民法で定める共有の規定をそのまま当てはめると、マンションには不便な点があるからです。

まず、民法では、持分に応じた使用が決められています。(民法249条)

これをそのまま、マンションに当てはめると、たとえば、3LDK100㎡の部屋の持ち主のAさんと、2DK50㎡の持ち主のBさんでは、Aさんのほうが、Bさんよりも、2倍ぐらい、マンションの建物の共同玄関を使ってもいいことになります。夫婦2人暮らしのAさん宅が、通勤のため2人で1日4回共同玄関を使うならば、夫婦と子供2人暮らしのBさんは2回だけしか使えませんということになりますね。Bさん家族は、自宅から出る機会を制限されてしまい、自宅から出られなくなってしまいます。

そこで、区分所有法第13条では、

「各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。」

と定めています。

部屋の大きさや場所、資産価値に関わらず、共同玄関を使うことができるのです。

3.共有で起こるマンション管理の問題

民法では共有物の管理について決めていますが、そのままマンションに当てはめると、

とても、面倒で現実的ではありません。

まず、共有分の変更には、他の共有者全員の同意を得ないとできません。

そうなると、一棟の建物に100戸や1000戸もある大規模なマンションだと、全員の同意を得るための集会を行うだけでも全員出席は大変です。さらに、その同意を得るためには、もっと時間がかかるでしょう。

また、その全員の同意を得るまでには、せっかく同意を得た所有者が売却してしまって、再度、新所有者に同意を得なければならないことも怒るかもしれません。老朽化した機械式駐車場を、平置きの駐車場にするために何年もかかってしまいかねません。

そこで、区分所有法第17条では、

十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

と定めています。

また、続く区分所有法第18条では、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの管理については、以下のように集会の決議で決めると定めています。

第18条

共用部分の管理に関する事項は、前条(17条)の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。」

では、集会の決議は?というと、39条で、「区分所有者及び議決権の各過半数で決する。」と定めています。

第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

区分所有法では、まとめると、

軽微な変更は、区分所有者及び議決権の各過半数の決議で決めて、

形状又は効用の著しい変更は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数決議
(区分所有者は過半数まで、規約で減じることができる)となります。

つまり、区分所有法では、共用部分を定義することで、大規模なマンションでも、管理しやすいように配慮されています。

まとめ

マンションでは、共同玄関などの構造上、区分所有できない建物の部分や、排水管など、区分所有者が単独で所有できない建物の付属物がある。

これらは、区分所有者全員の共有になる。しかし、共有のままだと、各区分所有者が使用する場合や、区分所有者全員で管理する場合に、問題があるので、区分区分所有法では、わざわざ共用部分を定義している。

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