〔問 9〕 共用部分及び敷地の共有持分の割合が等しいA、B、C及びDの区分所有 者からなるマンション(この問いにおいて「甲マンション」という。)が地震に よって滅失した場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれ ば、正しいものの組合せはどれか。ただし、同地震は、被災マンション法に基づいて政令の指定を受けた大規模災害ではないものとする。
ア 甲マンションの全部が滅失した場合には、A、B、C及びDのいずれの者も、他の者に対し、甲マンションの敷地について、分割を請求することができる。
イ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1を超える部分に相当する部分の滅失である場合に、復旧に反対した区分所有者Aは、復旧に賛成した区分 所有者の全員に対して、Aの建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるが、復旧に賛成した区分所有者のいずれか一人に対して請求することもできる。
ウ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失 である場合において、共用部分の復旧は常に集会の決議によるものとし、区分所有者単独での共用部分の復旧は認めないとする旨の規約を設定することはで きない。
エ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失 である場合において、区分所有者Bが自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに復旧の決議があったときは、Bは、単独で専有部分の復旧をすることは できない。
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア

解説)
落とし穴:建物が全部滅失すると、滅失した建物の区分所有者が共有している更地だけが残ります。
建物が一部滅失して、一部が残っている場合は、滅失した建物の価格が2分の1を超えるか、そうでないかによって、その後の取り扱いが変わります。 2分の1を超えて滅失した場合には、復旧の決議がされると、賛成しなかった区分所有者は、区分所有法で、所有している建物と敷地利用権を時価で買い取り請求をすることができると定められています。
2分の1以下の場合は、各区分所有者は、滅失した共用部分と自分の専有部分を単独で復旧することができます。しかし、規約で、共用部分の復旧については、別の定めをすることができ、また、復旧決議や、建替え決議、一括建替え決議がされると、区分所有者単独で復旧をすることは許されません。
選択肢ア
建物が全部滅失したら、敷地である土地だけになり、区分所有法が適用されなくなります。土地を共有している状態になりますので、民法が適用され、第256条第1項の規定によりいつでも分割請求ができます。
正しい。
選択肢イ
区分所有法第61条第7項で定めています。
正しい。
選択肢ウ
区分所有法第61条第1項では、建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した時,共用部分の復旧工事については、復旧の決議、立替の決議がされる前までなら、単独でできることを定めています。
しかし、続く第4項で規約によって別の定めをすることができるので、区分所有者単独での共用部分の復旧は認めないとする旨の規約を設定することもできます。
正しくない。
選択肢エ
復旧の決議、建替えの決議がされると、単独での共用部分の復旧工事はできません。
正しくない。
以上のことから、正しいのはアとイなので、選択肢1が正解になります。