〔問 23〕 共同住宅の管理について権原を有する者(この問いにおいて「管理権原 者」という。)、防火管理者等に関する次の記述のうち、消防法(昭和 23 年法律第 186 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 高さ 31 m を超える共同住宅で、その管理について権原が分かれているもの のうち消防長又は消防署長が指定するものの管理権原者は、当該建築物の全体 について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者を協議して定めなければ ならない。
2 防火管理者は、消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出るとと もに、これに基づいて消火、通報及び避難の訓練等を定期的に実施しなければ ならない。
3 防火管理者は、共同住宅の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設に ついて避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管 理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだ りに存置されないように管理しなければならない。
4 延べ面積が 1,000 m2 以上の共同住宅のうち、消防長又は消防署長が火災予 防上必要があると認めて指定するものの関係者は、当該共同住宅における消防 用設備等について、機器点検は6ヵ月に1回、総合点検は1年に1回、消防設 備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に実施さ せなければならない。

解説)
落とし穴:この問題は、正解が2つあり、受験生泣かせの問題です。2つのどちらが正解かを迷って時間を使ってしまうと悲劇です。消防法は消防法施行令まで出題されますが、非常に細かくわかりにくいです。
選択肢1
高さ 31 m を超える共同住宅で、その管理について権原が分かれているものの管理権原者は、当該建築物の全体 について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者を協議して定めなければなりません。(消防法8条の2第1項)
消防法8条の2第1項は以下のとおりです。
第8条の2 高層建築物(高さ31メートルを超える建築物をいう。第8条の3第1項において同じ。)その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの
又は地下街(地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたものをいう。以下同じ。)でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について
権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちからこれらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者(以下この条において「統括防火管理者」という。)を協議して定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物の全体についての消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
正しくない。
選択肢2
その通りです。(消防法施行令3条の2第1項、2項)
消防法施行令3条の2 は以下の通りです。
(防火管理者の責務)第3条の2
防火管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防火対象物についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
2 防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。
3 防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。
4 防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。
正しい。
選択肢3
防火管理者の責務は、選択肢2にある通り、主に、消防計画の作成と届出、計画に基づいて避難訓練を行うことや、器具の点検です。
共同住宅の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設に ついて避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管 理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだ りに存置されないように管理するのは、管理権限者です。
(消防法8条の2の4)
消防法8条の2の4 は以下の通りです。
第8条の2の4 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、
当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。
正しくない。
選択肢4
その通りです。消防法令32条第2項参照
機器点検とは、6ヶ月毎に行う点検で、消防用設備、火災報知器、消火器具などを外観から判別したり、簡単な操作を行って判別する点検です。
総合点検とは、消防用設備の一部または全部を作動させたり、消防用設備を使用したりし、総合的な機能を確認する点検です。
また、点検の結果は、消防長または消防署長に報告しなければなりません。
正しい。
以上のことから、選択肢1と3が正解になります。