令和2年マンション管理士試験問題と解説 〔問 28〕

令和2年度(2020年11月実施)過去問解説

〔問 28〕 管理組合の組合員の氏名等の情報提供及び提供された情報に基づき作成す る組合員名簿の管理に関するマンション管理士の次の発言のうち、標準管理規約及 び個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)によれば、適切なものは どれか。

 1 数年前に区分所有者が亡くなって以降、遺産分割につき相続人間で争いが継 続している場合には、区分所有権の帰属が確定するまでの間は、組合員の得喪の届出を求めることはできません。

 2 組合員総数及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意による総会 招集を行うことを理由として組合員の一人から組合員名簿の閲覧請求があった 場合、改めて組合員全員の同意を得るまでの間、その閲覧を拒否することがで きます。

 3 大規模災害が発生してマンション内の組合員や居住者の生命や財産が失われ るおそれがあり、直ちに自治体や関係機関による救助救援が必要なときであっ ても、管理組合は、組合員の同意を得なければ、自治体等の要請に基づき組合 員名簿を提供することはできません。

4 管理組合は、組合員から提供された情報等に基づいて作成した組合員名簿に ついて、当初の目的には掲げていなかった目的のためであっても、改めて組合 員の同意が得られれば利用することができます。

解説)

落とし穴:標準管理規約と、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)の競合する場合の知識

選択肢1

標準管理規約第31条によって、新たに組合員の資格を取得・喪失したものは、直ちにその旨を書面で、管理組合に届け出なければなりません。組合員が死亡すると、その地位は相続人に承継されます。相続人が複数ある時は、共有となり、各持分に応じて被相続人の権利義務を承継するので、遺産分割協議中であっても、新たに組合員の資格を取得したことを管理組合に届けなければなりません。

正しくない。

選択肢2

標準管理規約第64条によって、理事長は、会計帳簿、組合員名簿などの帳簿類を作成・保管しますが、組合員または利害関係者から理由を付した書面による請求があった場合には、閲覧させなければなりません。

組合員総数及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意による総会 招集を行う理由を付した書面で請求されれば、閲覧を拒否できません。

正しくない。

選択肢3

個人情報保護法第23条第1項2号によって、人の生命、身体または財産の保護のために必要があって、本人の同意を得ることが困難な場合には、本人の同意なくても開示ができます。

マンション内の組合員や居住者の生命や財産が失われるおそれがあり、直ちに自治体や関係機関による救助救援が必要なときなので、本人の同意なくても開示ができます。

正しくない。

選択肢エ

個人情報保護法第16条第1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的以外での個人情報を取り扱うことを禁止していますので、改めて組合員の同意が得られれば、利用は可能です。

正しい。

以上のことから、選択肢4が正解になります。

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