令和2年マンション管理士試験問題と解説 〔問 11〕

令和2年度(2020年11月実施)過去問解説

〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その一部が 滅失(区分所有法第 61 条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)した マンションの建物及びその敷地の売却の決議(この問いにおいて「売却決議」という。)に関する次の記述のうち、被災マンション法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、マンションの敷地利用権は、数人で有する所有権その他の権利とする。

1 区分所有者は、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の 4以上の多数による売却決議があれば、建物と敷地利用権の両方を売却するこ とができる。

2 売却決議を行うための区分所有者集会の招集については、規約をもってしても、その発出から会日までの期間を2ヵ月間よりも短縮することはできない。

3 敷地利用権が土地の賃借権である場合にも、借地権設定者の同意を得ずに、 建物及びその敷地の賃借権を売却することができる。

 4 区分所有者集会において売却決議がなされても、専有部分の賃借権は当然には消滅しない。

解説)

落とし穴:被災マンション法の正確な知識。被災マンション法は、建物が全部滅失して土地だけが残された場合には、区分所有法の適用ができずに、民法の共有の規定を適用することになってしまう不都合を回避するために、作られた法律です。条文には区分所有法の準用が多くわかりにくい構造となっています。条文にあたるよりは、わかりやすい解説を読む方が、時間がかからないでしょう。

選択肢1

選択肢の通りです。

建物と敷地の売却には、区分所有者集会において、区分所有者、議決権の各5分の4、敷地利用権の持分の価格の 5分の4の多数決議 が必要です。

(被災マンション法第9条第1項)

正しい。

選択肢2

選択肢の通りです。

(被災マンション法第9条第4項)

選択肢3

土地の賃借権は、賃貸人である借地権設定者の承諾を得ないと譲り渡すことができません。

この選択肢は民法の知識があれば解けます。民法612条1項

正しくない。

選択肢4

建物が売却されても、専有部分の賃借権が対抗要件を備えていれば、譲受人に対抗できます。

民法第605条、借地借家法第10条、31条、参照)

正しい。

以上のことから、選択肢3が正解になります。

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