〔問 13〕 Aが所有する甲マンション 201 号室には、AのBに対する債務を担保する ためにBの抵当権が設定されている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bの抵当権の効力は、Bの抵当権が設定された当時、既に 201 号室内に存在 していた従物に及ぶ。
2 Bの抵当権について設定登記がされる前に、Cが、Aから 201 号室を賃借し て同室の引渡しを受けていた場合において、Bの抵当権が実行されてDが同室 を買い受け、Cに対して同室の明渡しを請求したときは、Cは、同室の賃借権 を有することを理由にその請求を拒むことができる。
3 Bの抵当権が設定された後であっても、Aは、201 号室をEに賃貸し、Eか ら賃料を収取することができる。
4 201 号室にAのFに対する債務を担保するためにFの抵当権が設定された場 合には、Bの抵当権とFの抵当権の順位は、抵当権設定契約の前後によって決 まる。

解説)
落とし穴:抵当権を設定した時に、どこまで抵当権が及ぶのか。また、抵当権の目的となった不動産のを賃借人は、抵当権が実行されて所有者が変わってしまった場合に、対抗できるか。また、他の権利に対抗要件。抵当権者間での優先順位の決め方の正確な知識。
選択肢1
抵当権の及ぶ範囲は、民法第370条によると、抵当権の付加して一体となっているものに及びます。そして、付加して一体となっているものに、従物も含まれる判例があります。
正しい。
選択肢2
Cは、抵当権設定の登記がされる前に、賃借して引き渡しを受けています。建物の賃借権をその後の物権を取得した者に対する対抗要件は、登記がなくても引き渡し(借地借家法第31条)でよいので、Dに対抗できます。
正しい。
選択肢3
抵当権者は、債務者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債務の弁済を受ける権利を有します。(民法369条1項)
そこで、Aは、抵当権設定登記後であっても、Eに賃貸し、Eか ら賃料を収取することができます。
正しい。
選択肢4
抵当権の順位は、抵当権設定契約の前後でなく、登記の順位によります。(民法373条)
正しくない。
以上のことから、選択肢4が正解になります。