令和2年マンション管理士試験問題と解説 〔問 15〕

令和2年度(2020年11月実施)過去問解説

〔問 15〕 Aが、Bに対し、令和2年8月 20 日に中古マンションを売却し、Bが引 渡しを受けた後に当該マンションの天井に雨漏りが発見された場合におけるAの責 任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、 雨漏りにつきBの責めに帰すべき事由はなく、売買契約にAの責任についての特約 はなかったものとする。

 1 Bは、Aに対して、損害賠償請求をすることができ、また、契約の目的を達 することができないときは契約解除をすることができるが、雨漏りの補修を請 求することはできない。

2 Bが、Aに対して、雨漏りを発見した時から1年以内に損害額及びその根拠 を示して損害賠償を請求しないときは、Bは損害賠償請求をすることができな い。

3 Bが、Aに対して、相当の期間を定めて雨漏りを補修するよう催告をし、そ の期間内に補修がされない場合において、雨漏りの範囲や程度が売買契約及び 取引上の社会通念に照らして軽微でないときは、Bは売買契約の解除をするこ とができる。

4 Bが、Aに対して、相当の期間を定めて雨漏りの補修の催告をし、その期間 内に補修がされないときは、雨漏りについてAの責めに帰すべき事由がある場 合に限り、Bは雨漏りの範囲や程度に応じて代金の減額を請求することができ る。

解説)

落とし穴:改正民法の施行日は令和2年4月1日です。問われているのは、改正民法の売主の担保責任が、改正により目的物が契約不適合の場合に、修補も請求することができるようになったことの知識です。改正前の民法を知っていることが、かえって判断を鈍らせてしまいかねません。新しい教材を使うことの大切さがよく分かる問題です。

選択肢1

Bは雨漏りの補修をAに請求できます。民法第562条1項の通りです。

正しくない。

選択肢2

売買された目的物が契約不適合であることを発見してから、1年以内に売り主に「その旨」を通知すれば、売り主に責任追及ができます。(民法566条)。

正しくない。。

選択肢3

売り主に売買された目的物の修補を相当の期間を決めて催告しても、修補されなかった場合には、その期間を経過した時において、その債務不履行が契約及び社会通念上軽微でなければ、契約の解除をすることができます。(民法541条、564条1項)

正しい。

選択肢4

Aはもともと契約に適合した目的物、雨漏りのしない中古マンションをBに引き渡す債務を果たしていないのですから、Aに帰責性はなくても、Bは代金の減額請求ができます。

正しくない。

以上のことから、選択肢3が正解になります。

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