〔問 17〕 甲マンションの 102 号室にAとBが同居し、AがBと同居したまま令和2 年7月1日に死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤って いるものはどれか。ただし、AにはBのほかに相続人がいるものとする。
1 Aが配偶者Bに対し令和2年6月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、 甲マンションの 102 号室がAとBとの共有であったときには、Bは配偶者居住 権を取得しない。
2 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、配偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされず、また、配偶者居住権が遺贈あるいは死因贈与の目的とされていない場合には、Bは配偶者居住権 を取得しない。
3 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、Aが配偶者Bに対し令和2年6 月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、BがAの内縁の配偶者であったと きには、Bは配偶者居住権を取得しない。
4 甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、A がBに対し令和元年6月1日に配偶者居住権を遺贈あるいは死因贈与した場合 には、配偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされない限り、B は配偶者居住権を取得しない。

解説)
落とし穴:令和2年4月1日施行の改正民法で新規に設定された配偶者居住権の知識。
配偶者居住権は被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人の財産であった建物に同居していた(この建物を居住建物という)場合に、遺産分割または遺贈によって取得できる権利で、また、その建物の全部を無償で使用収益できる権利です。(民法1028条第1項)
選択肢1
配偶者居住権は、居住建物を、被相続人と配偶者以外の者が共有していた場合には、成立しません。(民法1028条第1項ただし書き)
AとAの配偶者のBとの共有であったときには、Bは配偶者居住権を取得します。
正しくない。
選択肢2
正しい。
選択肢3
内縁の配偶者は、配偶者居住権を取得できません。
正しい。
選択肢4
配偶者居住権を遺贈または死因贈与されたのは、改正民法の施行日令和2年4月1日より前の令和元年なので、民法1028条第1項は適用されずに、この遺贈または死因贈与では、
配偶者居住権を取得できません。
よって、遺産分割で取得しない限り、Bは、配偶者居住権を取得できません。
正しい。
以上のことから、選択肢1が正解になります。