〔問 26〕 区分所有者が住戸(専有部分)を賃貸している場合における管理組合の運 営上の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものは どれか。
1 総会の招集通知は、管理組合に対し区分所有者から届出がなされず、転居先が 不明である場合には、現在賃借人が居住している専有部分宛てに送付すればよい。
2 管理規約でペットの飼育が禁止されているにもかかわらず、賃借人がペット を飼育したときは、理事長は、賃貸人である区分所有者又は賃借人いずれに対 しても勧告や指示等をすることができ、区分所有者は、その是正等のために必 要な措置を講じなければならない。
3 賃借人が区分所有者の子である場合には、マンション外に居住している区分 所有者の委任により、当該賃借人が区分所有者を代理して、総会において議決 権を行使することができる。
4 賃借人は、会議の目的につき利害関係を有するときは、総会に出席して意見 を述べることができる。この場合において、当該賃借人はあらかじめ理事長か らその旨の承諾を得ておかなければならない。

解説)
合格へのポイント
適切でないものを選び出すので、4つのうち3つは、正しい選択肢です。読み流してしまうと、一見どれも正しそうに思えてしまうので、正解するには、ちょっと注意が必要な問題です。
選択肢1
標準管理規約 第43条の2項では、「前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するもの とする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部 分の所在地あてに発するものとする。」
と、定めています。
転居先が 不明なのは、あて先のない場合にあたります。
正しい。
選択肢2
標準管理規約 第5条の2項は、「占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会 の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。」と定めています。
また、第67条第1項では、以下のように定めています。
「 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若 しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は 使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱 す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等 に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことが できる。」
2項では、区分所有者について定めています。
「 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者 若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必 要な措置を講じなければならない。
正しい。
選択肢3
標準管理規約 第46条 第4項では、以下のように定めています。
「 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。」
第5項では、さらに次のように定めています。
「 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同 様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
三 他の組合員」
賃借人は、代理人にはなれませんが、区分所有者の子は、区分所有者の第一親等ですから、
代理人になれます。
正しい。
選択肢4
選択肢の文章の前半は合っています。
標準管理規約第45条の第2項は、次のように始まっています。
「 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利 害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。・・・・」
しかし、賃借人は、理事長に承認を得る必要はありません。
45条の第2項は、以下の文で終わります。
「この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ 理事長にその旨を通知しなければならない。」
通知は、理事長に言うだけです。たとえ、理事長が「出てほしくない」と難色を示しても、賃借人は総会に出席することができます。しかし、承認を得なければ、出席できないならば、理事長が「出てもいい」と出席を容認しないと、賃借人は、出席できません。
正しくない。
以上のことから、選択肢4が正解になります。


