〔問 1〕 Aは、甲地、乙地及び丙地の3筆の土地にまたがり、それぞれの上に、構 造上、利用上も区分され、独立して住居の用途に供することができる建物の部分を 有する1棟の建物(いわゆるタウンハウス)を建築し、甲地上の建物の部分(①) をA自身の居住用として使用し、乙地上の建物の部分(②)をBに、丙地上の建物 の部分(③)をCにそれぞれ分譲した。
ただし、Aは、乙地をBに、丙地をCにそれぞれ賃貸しているものとする。 この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治 29 年法律第 89 号)の規定によれば、正しいものはいくつあるか

ア この1棟の建物について、A、B、Cの全員によって区分所有法第3条に規 定する区分所有者の団体が組織される。
イ 敷地利用権について、BとCは、乙地及び丙地の賃借権の準共有者となる。


ウ Bは、建物の部分を第三者に譲渡する場合、その敷地利用権の譲渡につい て、Aの承諾が必要である。
エ Cは、建物の部分の敷地利用権に、Aの承諾を得て抵当権を設定することができる。
1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ
合格へのポイント 時間をかけ過ぎないこと
落とし穴:マンション管理士試験の第一問は、いつも即答できない難問と言われています。
この年も、あてはまりますね。
都心にある大規模なマンションには珍しい分有には戸惑いがちです。また、他の問題にはない図はあるし、個数問題なので、全部の選択肢の正誤を判定しないと正解にたどり着けない時間がかかる問題です。最悪なのは、時間をかけた割に、点数ロスの落とし穴に陥ってしまうことです。
とはいえ、問題中の言葉を丁寧に見て、市販のテキストに書いてある区分所有法の知識を使えば、正解できます。
受験戦術としては、こういう正答率の低そうな問題は、落としても合格できます。問題文を読んでみて、1問当たりの時間(110分を45問で割って2分26秒)の半分ぐらい、1分かけても正答につながる考えが浮かばなかったら、飛ばしてしまいましょう。確実に得点が取れる他の問題を先に解いて得点を高めてから、戻ってきて問題に取り組むのも得策です。
選択肢1.
区分所有法第3条では、
「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成」
と定めています。
この区分所有者とは、どんな人なのかは、丁寧にも、問題文中に書いてあります。
それは、「構 造上、利用上も区分され、独立して住居の用途に供することができる建物の部分」を所有する者です。
問題文の図を参考にすると、1棟の建物(いわゆるタウンハウス)は、AとBとCの3人が区分所有者になり、3人で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を組織します。
正しい。
選択肢2
これも問題文中を読めば正解がわかります。
Aは、乙地をBに、丙地をCにそれぞれ賃貸しているものとする。
はっきりとBとCには、それぞれ乙地と丙地を賃貸していると書いてありますから、賃借権の準共有者には、なりません。
正しくない。
択肢3
これも問題文中を読めば正解がわかります。
Bは乙地をAから賃借しているのですから、賃借権の譲渡には、Aの承諾が必要になります。
正しい。
選択肢4
これは、問題文と民法の知識が必要になります。
Cは丙地をAから賃借しているのですから、賃借権に抵当権は設定できるかを考えます。
民法第369条1項では、抵当権者は、占有移転しないで債務の担保に供した不動産
について、優先的に自己の債権の弁済を受けられると定めています。
続く2項では、地上権と永小作権にも設定できると定めています。
賃借権には、抵当権は設定できません。
正しくないです。
以上のことから、正しいのは、アとウの2つなので、選択肢2が正解になります。