〔問 8〕 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができないものはどれか。
1 各区分所有者による共用部分の保存行為について、管理者を通じて行うこ と。
2 共用部分の変更についての決議要件を、その変更の内容が軽微なものか重大 なものかにかかわらず、区分所有者及び議決権の各過半数に減ずること。
3 各住戸の面積等の差が軽微な場合において、共用部分の負担と収益の配分 を、住戸数を基準に按分すること。
4 一部共用部分について、これを共用すべき区分所有者の共有とするのではな く、区分所有者全員の共有とすること。

解説)
合格へのポイント
区分所有法は数部屋しかない小規模のマンションから、100,200あるいは1000世帯以上が住めるタワーマンションまでをもカバーする法律です。しかし、小規模のマンションと大規模のマンションでは、それぞれのマンションの個別事情があります。そこで、それぞれの事情にあった管理ができるように、規約で区分所有法とは別の定めができます。
しかし、機械式駐車場の日常の掃除や簡単な修理は、たった一人の管理者に任せられても、ある日いきなり、管理者の一存で、機械式駐車場の取り壊し工事が始まって、一斉に駐車禁止になったら、皆困ってしまいますね。機械式駐車場の取り壊しは共用部分の重大変更に当たります。
そこで、管理者には任せられない共用部分の重大変更は、集会を開いて、区分所有者の特別決議が必要と区分所有法で定められ、それは、規約での変更できないのです。
この規約で変更できない共用部分の重大変更について理解していれば、正解できます。
選択肢1
区分所有法第18条1項と2項です。
「 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」
正しい。
選択肢2
区分所有法第17条です。
「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
重大な変更の決議要件を、規約で過半数にまで減らせるのは、区分所有者の定数だけです。議決権の決議要件は減らすことはできません。
正しくない。
選択肢3
区分所有法19条1項です。
「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」
正しい。
選択肢4
区分所有法第14条です。
「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」
正しい。
以上のことから、選択肢3が正解になります。
