〔問 5〕 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止に関する次の記述のうち、区分所 有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、規約に別段 の定めがない限り、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る 敷地利用権とを分離して処分することができない。
2 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、一筆の土地 の一部について専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することを認める規約を設定することができない。
3 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合の専有部分とその 専有部分に係る敷地利用権との分離処分禁止に違反する処分は、分離処分禁止 の登記がなされていない場合、その無効を善意の相手方に主張することができない。
4 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、その有する専有部分とその専 有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができるとの規約を公正証 書により設定することができる。

解説)
合格のポイント
区分所有法で決められている、専有部分と敷地利用権の分離処分について、問われています。敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、専有部分とそのその専有部分に係る敷地利用権の分離処分は、規約に定めないと認められないことを記憶しておけば、選択肢2は、ちょっと判断に迷いますが、消去法で正解にたどりつけます。
選択肢1
「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
区分所有法第22条第1項です。
過去に出題されています。
正しい。
選択肢2
選択肢1にあるように、規約に定めれば、専有部分と敷地利用権の分離処分が認められますが、では、その場合、一筆の土地の一部でも設定できるのかと問われています。
ここ最近の過去問や、テキストに直接、一筆の土地の一部でも設定できると記載している箇所はありませんでした。
このような初めてみたような問題は、あれこれ迷って時間を無駄にしてしまいがちです。こんな時は、判断を保留して進むのをお勧めします。
すると、選択肢3と4から、消去法で正しくないとわかります。
選択肢3
区分所有法第23条1項本文と但し書きです。
第23条 前条第1項本文(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでない。
正しい。
選択肢4
区分所有法第32条です。
(公正証書による規約の設定)
第32条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第22条第1項ただし書及び第2項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。
正しい。
以上のことから、選択肢2以外の3選択肢が正しいとわかるので、正解は選択肢2になります。
