〔問 16〕 Aがその所有する甲マンションの 301 号室をBに賃貸し、CがBの賃料支 払債務について連帯保証した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に よれば、誤っているものはどれか。
1 Bが賃料の支払を怠り、Aから保証債務の履行を請求されたCは、Aに対 し、まずBに対して賃料支払の催告をするよう請求することはできない。
2 AB間の賃貸借契約において賃料債務についての遅延損害金の定めがない場 合には、AC間の連帯保証契約において保証債務についてのみ遅延損害金を定 めることはできない。
3 Bの賃料支払債務が時効により消滅した場合、Bが時効の利益を放棄して も、Cは自ら賃料支払債務の消滅時効を援用し、保証債務を免れることができ る。
4 AがCに対して保証債務の履行を請求し、その時効の更新が生じても、Aと Bが別段の意思表示をしない限り、Bに対する時効更新の効力は生じない。

解説)
合格へのポイント
問題15に続いて、改正民法の問題です。連帯保証が問われる本問では、改正前の民法の知識は不要です。連帯保証と連帯債務は、よく似ているので注意です。
選択肢1
連帯保証の場合は催告の抗弁権が認められません。
民法第454条
「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」
この前二条の権利は、催告の抗弁権と検索の抗弁権です。
正しい。
選択肢2
保証債務は、主債務が確実に履行されるための債務ですから、主債務よりも重くなりません。
民法第448条
- 保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。
正しくない。
選択肢3
保証債務の附従性について問われています。主債務が消滅したら、保証債務も消滅します。
問題文中に、はっきりとBの賃料債務が消滅したとありますから、その後でBが時効の利益を放棄しても、保証債務も消滅します。
正しい。
選択肢4
保証債務の付従性によって、主債務に生じた事由は、保証債務に影響します。その反対で、保証債務に生じた事由で、主債務に影響するのは、債務消滅事由である、保証人からの相殺、更改、弁済、混同です。
保証債務の時効が更新されても、主債務には影響ありません。
正しい。
以上のことから、選択肢2が正解になります。
