〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、区分所有建 物の全部が滅失した場合において、区分所有建物の敷地利用権を有する者(この問 いにおいて「敷地共有者等」という。)が開く集会で建物を建築する旨の決議(こ の問いにおいて「再建決議」という。)を行うことに関して、被災マンション法の 規定によれば、誤っているものはどれか。
ただし、区分所有建物の敷地利用権は数 人で有する所有権その他の権利とする。
1 区分所有建物の全部が滅失した場合、区分所有建物において管理者として定 められていた者は、敷地共有者等によって管理者と定められていなくても、再 建決議をするための集会を招集することができる。
2 区分所有建物の全部の滅失が、直接に災害によるものではなく、災害により 一部が滅失した後に区分所有者によって適切に手続きをとった上で取り壊され た場合であっても、建物を建築する旨の再建決議をすることができる。
3 敷地共有者等の集会において、決議手続きや説明会の開催等について規約を 定めることはできない。
4 敷地共有者等の集会においては、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多 数の賛成で建物の再建を決議することができるのであり、決議に際しては、賛 成する敷地共有者等の数が5分の4に足りていなくても決議することができる。

解説)
合格へのポイント
昨年の令和3年も問題11は、被災マンション法からの出題でした。被災マンション法は、建物が全部滅失して土地だけが残された場合には、もはや区分所有法の適用ができず、一般法の民法の共有の規定を適用することになってしまう不都合を回避するために、作られた法律です。
条文には区分所有法の準用が多いのですが、区分所有法がそのまま適用されないことは忘れないようにしましょう。
選択肢1
区分所有建物が全滅した場合、被災マンション法第2条で、敷地共有者集会を開き、管理者を定めることができると規定しています。この管理者とは、敷地共有者集会の管理者であって、区分所有法第3条で定める区分所有者の団体とは別です。
正しくない。
区分所有法がそのまま適用されないことを覚えていたら、この選択肢1が正しくないことがわかりますので、残りの選択肢は読んでも読まなくても正解できます。試験時間はかぎらられてるので、節約のために、読まずに次の問題に進むことをお勧めします。
選択肢2
被災マンション法第2条の条文中にかっこ書きで、次のように定められています。
全部が滅失した場合(その災害により区分所有建物の一部が滅失した場合(区分所有法第六十一条第一項本文に規定する場合を除く。以下同じ。)において、当該区分所有建物が第十一条第一項の決議又は区分所有者(区分所有法第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)全員の同意に基づき取り壊されたときを含む。)
正しい。
選択肢3
被災マンション法第2条の条文の最後は、「集会を開き、及び管理者を置くことができる。」です。
敷地共有者等の集会は、暫定的な集会なので、規約を定めることは定められていません。
正しい。
選択肢4
被災マンション法第4条に示されています。
敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、建物の再建を決議します。
敷地共有者等の集会の決議要件は、議決権だけで、共有者数が要件になることはありません。
正しい。
以上のことから、選択肢1が正解になります。
