令和3年マンション管理士試験問題と解説 〔問 18〕

令和3年度(2021年11月実施)過去問解説

〔問 18〕 区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法(平成 16 年法律 第 123 号)の規定によれば、正しいものはどれか。

 1 所有権の登記がある区分建物が、これと接続する所有権の登記がある区分建 物と合体して一個の建物となった場合には、当該各区分建物の所有権の登記名 義人は、合体前の区分建物について表題部の変更の登記を申請しなければなら ない。

 2 表題登記がある区分建物の部分であって区分建物に該当する建物を、登記記 録上別の区分建物とする建物の区分の登記は、当該建物部分の所有権を新たに 取得した者が、申請することができる。

3 抵当権の登記がある区分建物の附属建物を、当該区分建物から分割して登記 記録上別の一個の建物とする建物の分割の登記は、当該区分建物の抵当権の登 記名義人が、申請することができる。

4 表題登記がある区分建物を、これと接続する表題登記がある他の区分建物に 合併して登記記録上一個の建物とする区分建物の合併の登記は、各区分建物の 表題部所有者が相互に異なるときは、することができない。

解説)

合格へのポイント

不動産登記の問題は、初めて読むような見覚えのない難しい問題だったり、そうかというと、何度も聞いたような簡単に感じる問題が出たり、予想を立てるのも難しい傾向にあります。この問題は、区分建物を合体させたり、分割したりと、短時間で問題を解く緊張状態にある受験生にとっては、意地悪な問題ではないしょうか?

不動産登記の問題は1問出題される傾向なので、受験前にすでに不動産登記の知識や経験がある場合を除いて、他の分野で得点力を伸ばしておくのを優先させ、不動産登記の問題は落としても、合格点、だいたい38点を超えられるように準備するのも有効な戦略でしょう。どんな問題でも1点の重みは変わりません。

選択肢1

問われているのはいくつかの区分建物の工事を行って、建物が物理的に合体した場合の登記です。例えば、2つのワンルームマンションの壁を取り除いて2LDKの部屋にする場合いです。

この場合に必要な登記は、不動産登記法第49条各号に定められています。

不動産登記法第49条

二以上の建物が合体して一個の建物となった場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める者は、当該合体の日から一月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部登記の抹消(以下「合体による登記等」と総称する。)を申請しなければならない。」

申請するのは、登記の抹消、であって、選択肢にある変更の登記ではありません。

正しくない。

選択肢2

この選択肢は、1と異なり、ひとつの区分建物を分割して、新しい区分建物として登記すること、区分建物登記が問われています。例えば、高収入の外国人が住むような広い3LDKの部屋に間仕切り壁を作って、提琴的な日本人が住むような2DKの部屋を2つ作って、区分建物として登記する場合です。

不動産登記法第54条1項では、以下のように定めています。

第54条 次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

そして、第2号では、

 建物の区分の登記(表題登記がある建物又は附属建物の部分であって区分建物に該当するものを登記記録上区分建物とする登記をいう。以下同じ。)

と、定めています。

選択肢は、所有権を新たに 取得した者が、申請できるとしているので、正しくないです。

正しくない。

選択肢3

この選択肢は、注意深く読めば、主語で間違いだとわかります。

建物を分割して、登記上別の一個の建物にする登記ができるのは、登記を勉強した受験生ならば、少なくとも、建物を所有する人または同等の人だと、察しがつくでしょう。

抵当権者が勝手に、そんなことをできてしまったら、抵当権をつけた家が、ある部分だけ他人に売却されてしまいかねません。

正しくない。

選択肢4

不動産登記法第54条第3号では、以下のように定められています。


 建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)

この登記の申請ができるのは、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者ですが、合併する区分建物には、利用上の一体性があることが求められ、そこから、合併する区分建物の名義人は同じである必要があります。

例えば、建物を1階と2階にわけて2世帯住宅としてそれぞれ親と子が所有者の区分建物として登記した場合、そのままでは合併登記ができません。

正しい。

以上のことから、選択肢4が正解になります。

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