〔問 2〕共有物分割請求権の行使に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の 規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 民法では、5年を超えない期間内は、共有物の分割をしない旨の契約をする ことを妨げられていないが、当該契約の更新は認められない。
イ 区分所有建物の専有部分以外の建物の部分を共有する区分所有者は、当該建物の部分について、共有物分割請求権を行使することができない。
ウ 区分所有建物の専有部分を共有する区分所有者は、当該専有部分について、 共有物分割請求権を行使することができない。
エ 区分所有建物の専有部分を規約により共用部分とした場合、当該規約共用部分を共有する区分所有者は、当該規約共用部分について共有物分割請求権を行使することができない。
1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ

解説)
合格へのポイント:問題1に続いて個数問題です。丁寧に選択肢一つひとつを判断する必要があります。
民法の共有は分割請求ができるけれど、区分所有建物の共用部分が分割請求されたら、どうなるか?
たとえば、共用部分の階段の一部が、ある日、区分所有者とは全く関係のない人との共有になって、階段の一部だけは自分の所有だから、通行料を払え!と言われたら、困ってしまいますね。そのために、区分所有法では、分割請求は認められないように配慮しています。
専有部分の共有は、分割請求ができる。共用部分の分割請求はできないと理解しておきましょう。
選択肢ア.
民法256条第1項、2項に定められています。共有者は5年を超えない期間に、共有物の分割請求をしない旨の契約をすることができますが、この契約の更新ができます。
正しくない。
選択肢イ
区分所有建物の専有部分以外の建物の部分とは、共用部分のことです。
区分所有法第15条2項には、共用部分は、その専有部分と分離して、持分を処分することはできないと定めていますから、共有物の分割請求は認められません。
正しい。
選択肢ウ
選択肢イとの違いは、当該専有部分の共有物の分割請求が問われていることです。
夫婦や親子で、お金を出し合ったり、ローンを組んだりして、マンションの1室を購入することはよくあります。そして、共有物の分割請求によって、区分所有されているマンションの1室を売却して、その代金を共有持分に応じて分けることも、離婚や相続時には行われています。
正しくない。
選択肢エ
規約共用部分も、法定共用部分と同じ共用部分ですから、共有物の分割請求は認められません。
正しい。
以上から、選択肢2が正解になります。
