令和3年度マンション管理士試験問題と解説第6問

令和3年度(2021年11月実施)過去問解説

〔問 6〕 区分所有法の規定によれば、規約に関する次の記述のうち、正しいものは どれか。

1 建物の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項を規約で定めることができるのは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び共用部分とされた附属の建物の管理又は使用に関する事項に限られる。

2 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機に よる情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。)によ り、これを作成しなければならない。

3 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、構造上一部 の区分所有者の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする旨の規約を設 定することができる。

 4 管理者がいる場合、規約に定めることにより、管理者が指名した者を規約の保管者とすることができる。

解説)

合格へのポイント

選択肢1と選択肢2は、過去、何回も出題されていますので、すぐに正誤の判断がつきます。

選択肢3は、前門の問5と同様に一部(の区分所有者の共用に供されるべき建物の部分を専有部分に規約で定められるか)は、最近の過去問題には見慣れないので、違和感に惑わされてしまうかもしれません。この問題が正解だったとしても、時間を無駄にしてしまうのは、もったいないです。選択肢2が自信をもって正しいとわかれば、選択肢3,4は読み流すか、読まないで、見直しの時に確認がてら読むことをお勧めします。

選択肢1

マンションの専有部分でのペット飼育禁止など、専有部分の使用についても、規約で定めることができます。専有部分以外についてのみ定めることができるのは間違いです。

区分所有法第30条1項には、

「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」

正しくない。

選択肢2

区分所有法の条文そのものです。

区分所有法第30条5項「規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければ上らない。

正しい。

選択肢3

問題5に続いてまた区分所有法第32条が出題されています。

(公正証書による規約の設定)

第32条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項、第五条第一項(規約敷地のこと)第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)(専有部分と敷地利用権の分離処分)の規約を設定することができる。

区分所有法第4条2項は、以下のように定めています。

 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

この第1条とは、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」

で、専有部分のことです。

規約によって、専有部分を共用部分にできるのであって、共用部分を専有部分にできるのではありません。一部でも全部でも関係なく、一部の区分所有者の共用に供されるべき建物の部分であっても、専有部分に規約で定められることはできません。

正しくない。

選択肢3

問題5に続いてまた区分所有法第32条が出題されています。

(公正証書による規約の設定)

第32条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項、第五条第一項(規約敷地のこと)第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)(専有部分と敷地利用権の分離処分)の規約を設定することができる。

区分所有法第4条2項は、以下のように定めています。

 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

この第1条とは、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」

で、専有部分のことです。

規約によって、専有部分を共用部分にできるのであって、共用部分を専有部分にできるのではありません。一部でも全部でも関係なく、一部の区分所有者の共用に供されるべき建物の部分であっても、専有部分に規約で定められることはできません。

正しくない。

選択肢4

区分所有法第33条1項です。

第33条 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

管理者がいる場合は、管理者が規約を保管しなければなりません。

正しくない。

以上のことから、選択肢2が正解になります。

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